「このニュースは今この時間に流しているものですが,このニュースが届くのは,明日,もしくは昨日になることもありますのでご注意下さい」…。そんなエフェクトが加えられるときも来るだろう。その時,我々は,それに気付くことができるのか?
米CBS社がニュース放送中,タイムズスクエアに取り付けている米NBC社の巨大なビデオ広告用スクリーンを,デジタル処理で見えなくしていることで,NBCはCBSに中止するよう申し入れている。CSBのニュースキャスターは正式に「間違いだった」と謝罪している。
アメリカンフットボールのNFLのTV放送に,今季からバーチャルファーストダウンマーカーというシステムが取り入れられている。ファーストダウンとなる地点に,実際にはない,黄色いラインが引かれているのだ。特に違和感もなく,その線の上を選手たちが駆け巡り,カメラが左右に動いたり,引いたり寄ったりしても全然問題なく線がある。どういう仕組みなのかはわからないが,おんなじものを使えば,画面上の特定の箇所を他の情報に置き換えるのは簡単だろう。
ワイヤード上では,手軽に,簡単に,リアルな情報にエフェクト(影響)を与えることができる。いない人物を作り上げることもできるし,違う自分を作り出すこともできる,時系軸を狂わせることも可能になるかもしれない。記事中にあるようなエフェクトなんて簡単で,服の模様を変えたり,人相を変えたり,いない場所にいるように見せたり,情報の一部を消去することもできる。株式市場ナスダックの管理システムの前に立つことができれば,株式相場を自由に変更し,世界を恐慌に落とし込むことだってできる。そのエフェクトを捕まえるのは,殊の外,困難なのは,まだ実感をもって語られていない事実だ。
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